LoFi / Chillジャンルは、シンプルな楽曲構成でいかに聴く人をリラックスさせることができるかが問われます。一聴すると簡単に作れそうだと思われがちですが、その実、ビートメイカーたちはたくさんの工夫を楽曲に散りばめています。
ひとえに工夫と言っても様々ありますが、音選びや、エフェクトの使い方も工夫のうちの一つです。「あのビートメイカーさんはどのようにサウンドデザインをしているんだろう…?」と気になった経験、皆さんもありませんか??
当レーベルJapanolofi Recordsは、スタッフの半数以上が、現役ビートメイカーで構成されております。その全員が、海外レーベルからのリリース経験、あるいは今後リリース予定あり。
そこで!
ライター担当である私TAKESYが、当レーベルスタッフの気鋭のビートメイカーたちに、おすすめの音源やエフェクトプラグインを聞いてみました!
今回はそれらを一気に紹介しちゃいます!!
愛用しているDAWソフトなども教えてもらいましたので、「これからビートメイクを始めたい!」という方のご参考にもなるかと思います!
世界で活躍するビートメイカーが好んで使っているDAW、ソフト音源、プラグインたち。気になるものがあればチェックしてみてくださいね!
それではさっそく、ご紹介していきましょう!
・他のビートメイカーが使用しているツールを知りたい!
・これからビートメイクをはじめたい!
・Japanolofi Recordsスタッフ
・ライター自身もビートメイカー
・世界的に活躍するスタッフメンバーのビートメイカーたちにインタビューを実施
KOHEI YOSHIIお気に入りツール
まずは当レーベルが誇る信頼のA&R、KOHEIさんのセレクションから!
海外レーベルからのリリース経験が豊富で、ワールドワイドに活躍されているビートメイカー。世界基準に挑戦し続けてきた彼の判断軸に、僕らレーベルメンバーも何度も助けられています。
彼が愛用するツールこそ、最も気になっている方も多いのではないでしょうか?
世界のKOHEIが選んだツールたちは以下の通りです!
愛用DAW:PreSonus Studio One Professional
ビートメイクの主流はAbleton Liveですが、僕は天邪鬼なところがあるのか、みんなと違う方向に向きたくなる傾向があります笑
音質もクリアで好きだし、付属のプラグインも音源もクオリティ高い。マスタリングまで完結できるのが気に入ってます。マスタリング時に問題点が見つかれば、すぐに戻れるのが便利。
今年はメジャーアップデートも入り、ナンバリングもついに6を冠するようになりました。ミュージシャン、エンジニア双方から定評のあるStudio Oneです。
Studio Oneの魅力はなんと言っても、オールインワンで楽曲制作やパフォーマンスが完結できてしまうそのユーザビリティの充実さ。トラックメイキングだけでなく、マスタリングやCD制作、さらにはライブマニピュレーションまで対応できてしまう万能ソフトです。常田大希さん率いるmillennium paradeが、ライブマニピュレーションをStudio Oneで組んでいたのは有名な話ですね!
そして、KOHEIさんご本人もおっしゃるように、音質の良さも特徴的です。粒立ちの細やかさが特徴で、音の解像度が他のDAWよりも綺麗だと定評があります。
愛用ソフト音源:Studio One付属Impact XT
Studio One付属のドラム用サンプラー。
付属されてる音源が結構無垢で、欲しい質感に加工しやすい。困ったらここに戻る。
Studio Oneに内蔵されているドラムサンプラーをチョイス!
KOHEIさんのビートといえば、低域のDopeさや、楽曲を構成するすべての音の質感の美しさが特徴的です。
LoFi / Chillジャンルの根幹にあるのはHip Hopですから、楽曲の質感を左右する要素の多くを占めるのはドラムだと言えます。KOHEIさんが信頼を置くドラム音源が、Studio One内蔵サンプラーであったとは驚きました!
愛用エフェクト:Waves Oneknob Filter
直感でフィルタリングできるので、音作りからリアルタイムオートメーションでエフェクター的使用に使ったり、色々出来ます。
愛用エフェクトとしては、プラグイン界の大御所Wavesが展開するOneknobシリーズから、Oneknob Filterをチョイス。
これを見た時、すごく納得したというか。やはり最終的には直感的な操作性がものを言うのだなと思わされました。
お手頃価格で入手できる製品ですし、もしお手元のラインナップに含まれていない方は、チェックしてみても良いかもしれませんね!
Yotsugiお気に入りツール
当レーベルの広報・リーガル担当であるYotsugiさん。皆さんご存知の通り、彼女はとびっきり明るいキャラクターで多くの人々から愛される素敵な方です!
英語が堪能であられるので、海外レーベルとやり取りをした経験も豊富。彼女自身も海外レーベルからのリリースを複数回経験している有力ビートメイカーです。
愛用DAW:Apple Logic Pro X
去年の12 月から使っててもうすぐ一年。なんだかんだで操作に慣れてる。ガレージバンドとの連携で手軽に作曲メモが取れるのは便利。
周りの影響でAbleton Liveに移行しようとしてるが、機械音痴のため、なかなか苦戦中笑
YotsugiさんはLogic Proを愛用!
僕も愛用していたことがありますが、Logic Proの魅力はなんと言っても、スタイリッシュで見やすいGUIと、他のApple製アプリケーションとのシームレスな連携にあります。
彼女もコメントしている通り、GarageBandとプロジェクトを共有できるのは本当に便利。iPhoneやiPadで出先で作った楽曲のスケッチを、AirDropでMacに移動して、MacではLogic Proでその続きから作れるのです!
移動中の時間を活用して制作ができるのは、日中働くサラリーマンや、学校による時間的拘束がある学生にはおすすめですね!
愛用ソフト音源 Native Instruments KOMPLETE13 &Kontakt音源
みんな大好きNI。内部に入ってるビートのサンプルを使うこともあるし、特に生音っぽい音源の時はこれに頼ることが多い。気付いたらKONTAKT音源だらけになっているプロジェクトもある笑
Native Instruments(通称NI)が展開する総合音源・エフェクトプラグインバンドルKOMPLETEシリーズをチョイス。同様にKOMPLETEを愛用しているビートメイカーも多いのではないでしょうか?
かく言う僕も、NI大好き芸人です。笑
KOMPLETEシリーズも、今年に入ってメジャーアップデートされ、そのナンバリングもついに14に。今回のアプデは激アツな内容でしたので、より多くの方におすすめしやすいバンドルとなりました!
Apple Silicon M1シリーズに未対応であるという課題は残りますが、メーカー側もいまこの問題には対処している最中とのこと。今後のアップデートも期待ですね!
ちなみに、ちょっとしたこぼれ話ですが、YotsugiさんがKOMPLETEシリーズを購入したきっかけは、僕が個人で運営していたブログサイトの記事がきっかけだったようです。笑
知り合うよりも前から、ささやかな接点があったような気がしてちょっとテンション上がりました。笑
愛用エフェクト Native Instruments RAUM
同じくNIのリバーブ。KOMPLETE 13買ったら知らないうちに入っていた。
生音楽器にこれをかけると、めちゃくちゃ綺麗な音になるから好き。
ただし、空間は難しいからかけすぎ注意!なのと、一歩間違えれば全体の音の濁りに繋がるので、最近は自重しながら使っている!
エフェクトは同じくNIから、RAUMをチョイス。リバーブエフェクトですが、その扱いやすいGUIから定評のあるプラグインです。NIのリバーブラインナップの中には、Lexiconの有名アナログリバーブのモデリングなどもあったりするのですが、ダントツでRAUMが使いやすい印象です。
streethiderお気に入りツール
仲間内ではユウスケさんの愛称で知られる彼は、streethider名義での活動にも積極的です。当レーベルにおいてはアートワーク担当。
彼のストリートテイストを散りばめたコラージュアートは秀逸な作品ばかりで、当レーベルからリリースしているビートメイカーたちからも太鼓判を押されるほど。
そんな彼、音楽においても本当にハイセンスです。海外レーベルTsunami Soundsからのリリース経験もあり、実力も折り紙付きです。
愛用DAW:Ableton Live、Apple GarageBand、Korg Gadget、Blocs Wave
Macはableton
iPad はGarageBand
Korg Gadget
加工はBlocs Wave
彼のキャリアを辿っていくと、GarageBandでサンプリング主体のビートメイクで数々のリリースをしていました。GarageBandの可能性の奥深さを誰よりも堪能しています!
また、複数のDAWアプリケーションを用途別に使い分け、まとめ上げているのも特徴的。実は誰よりも生粋のミュージシャンかもしれないと僕は思っています。笑
愛用ソフト音源・エフェクト Native Instruments KOMPLETEバンドルプラグイン
NI製品が好きですが、特にこだわりは無いです😎
出ました、素材に極端にこだわらない系の方です。笑
これって、ちゃんと耳で聴き分けて、楽曲のテイストやミックスに合う・合わないが判断できてしまうからこそ成し遂げられる境地です。まさにハイセンスミュージシャン。
実際、彼の楽曲を聴いてみるとよく分かりますが、秀逸な作品がほんとに多いのです。
現在は音楽ではなく、アートワークの世界に邁進中ですが、彼がまた音楽を再開する日が楽しみですね!
TAKESYお気に入りツール
あ、僕からもご紹介させてくださいね!笑
僕は基本的に周りの皆さんに助けられながらビートメイクしておりますのでキャリアも大したことないのですが、DAWとか、音源やプラグインのメーカー別の相違点とか調べたりするの大好きなので、少しでも皆さんの助けになれば幸いです!
愛用DAW:Ableton Live Suite
フレーズのコピペが爆速だし、サンプルの管理や編集もカンタン!
感覚的にビートメイクできるところがとにかくお気に入りです!
まだまだ全ての機能を使いこなせてはおらず、つまずいたら操作方法をググりながら制作する毎日ですが、本当に作曲者にフォーカスを当てているソフトだなと感じます。
エンジニア領域へのアプローチがまだまだ弱いところがありますが、もうそんなのどうでも良くなるくらい、ビートメイカーにぴったりのDAWだなという印象です!
愛用ソフト音源:reFX Nexus4
拡張プリセット『LoFi』はすごく良く使います。音色選びに迷った時には、気づけば立ち上げている。そんな音源です。
ただ、存在感があるような音質なので、LoFi / Chillで使うなら、エフェクトでしっかり滲ませてから使うなどの工夫をしています。
紹介したい音源、ほんとにたくさんあるんですけど、どれか一つと聞かれたら、reFX Nexus4です!
もともとはEDMに特化した音源なのですが、最近はいろんなジャンルのプリセットが販売されるようになりました。とにかく音は即戦力ばかりで便利です。
PCMタイプのシンセなので、シンセのなかで音を作り込むのではなく、すでに完成されている音をサンプル的に読み込んで使うタイプのシンセ。
何が言いたいかというと、とにかくプリセットを購入しまくったもん勝ちの課金ゲーなシンセなのが難点。笑
ただ、LoFi / Chillジャンルで使うなら、ひとまずプリセット『LoFi』だけでなんとかなります!
愛用エフェクト:Leapwing Audio RootOne
低音増強プラグインです。
このプラグインが素晴らしいのは、サブハーモニック周波を生成して、位相ズレの起きないように低音強化をしてくれるところ。
サンプルとか触っていると、「音色は気に入ってるのにローが軽い…どうしよう…」という事態は結構あるので、本当に重宝しています!
これは本当によく使います。低域のドープさって、サンプルや音色を選ぶ時点で判断できれば良いのですが、僕にはまだそこまでの耳が鍛えられていないのと、意外とお気に入りの音色ほどローが弱くて、スッカスカになってしまうことも多いのです。
そんなときに便利なのがこれ、RootOne。
類似したプラグインで、WavesからLoAirとかSubmarineとか出てますが、RootOneが素晴らしいのは、位相をぴったり合わせてローエンドを強化してくれるスーパー謎技術。とにかく綺麗に低音が持ち上がります。
Thirsty Girlお気に入りツール
さぁ、ラストを飾るのは我らがオーナー、Thirsty Girlさんです。
LoFi/Chillにおいて目覚ましい成績を残されていることはもちろんのことですが、彼の最大の特徴は、どんなジャンルの楽曲でも素晴らしい完成度で仕上げられるオールラウンダーであることと、エンジニア領域の理解が深く、ミックス・マスタリングが秀逸であること。当レーベルにおける楽曲リリースの判断は、A&RのKOHEIさんと代表のThirsty Girlさんの二輪で行われています。
大トリに回したのは、『オーナーだから最後の砦として…』とかっていうことの前に、この方ほんとに太っ腹すぎてすごくたくさんのおすすめツールをご紹介くださったからです。笑
順番に見ていきましょう!
愛用DAW:Ableton Live
MacでLiveとPUSHと組み合わせたときの直感的な操作性が最強だから。あと動作が軽いと思う(当社比)
Ableton Liveと、Abletonが展開するパッドコントローラーPUSHを組み合わせて使っておられるようです!
直感的な操作性はまさにAbletonの専売特許。PUSHは高額ではありますが、導入するメリットは十二分にあると言えます。
愛用ソフト音源①:Arturia Pigments
Ambient系のプリセットが充実してる。プロ制作のプリセットがめちゃくちゃ完成度高いのとUIの視認性がいい。Serumより可愛い
Arturia製ソフトシンセ、Pigmentsをチョイス。サウンドクオリティの高さから定評のある音源です。
Arturiaのプラグインはどれもクオリティが高く、アナログシンセを集めたAnalog Lab Vや、エフェクトプラグインたちも世間からはかなり高評価です。
愛用音源②:Native Instruments Kontakt
いわずもがな
はい、言わずもがなです。笑
楽曲制作をするならKontaktサンプラーは必須です。
Native Instrumentsだけでなく、他メーカーもKontakt用の音源は数多くリリースしているので、持っておいて損はない音源です。
愛用音源③:Spitfire Felt Piano
無料音源LABSではなく、29ドルのやつ
切ない音色が特徴的なピアノ音源です。
すでに音色がノスタルジックな響きをしているので、LoFi/Chillジャンルと非常にマッチした音源です。
愛用音源④:Ableton Live内蔵Drum Rack
ドラムはLiveのドラムラックにサンプル入れて使ってる
Ableton Liveに内蔵されているドラムサンプラーDrum Rackを愛用しているとのこと。特に、パッドコントローラーPUSHを持っているなら、Drum Rackは非常に強力な相棒となります。
Drum Rack内にドラムサンプルをマッピングしまえば、フィンガードラムの要領でリアルタイム演奏も可能です。
愛用エフェクト①:bx_console SSL9000J
全トラックに挿してほぼこれで処理する
Plugin Allianceファミリーであるbrainworxがリリースする、SSLの超高級コンソール9000Jをモデリングしたプラグインです。
EQ、コンプ、リミッターなどの機能が一つに集約しているので、これを各トラックにインサートして、基本的なサウンド調整を行なっているようです。
愛用エフェクト②:Arturia FET-76
76系コンプレッサーのモデリングプラグイン。76といえば、コンプのかかり方が早く、音色のアタック感をデザインするのに適したコンプです。
数々のメーカーがこの76コンプをモデリングしているわけですが、Thirsty GirlさんはArturiaをチョイス!
愛用エフェクト③:bx_townhouse Buss Compressor
こちらもbrainworxがリリースする、SSLの有名バスコンプレッサーをモデリングしたプラグインです。なるほど、Thirsty GirlさんはSSLのサウンドが好みなのかもしれません。
こちらも非常に優れたプラグインで、バスにインサートするのはもちろん、マスターにかけても良い仕事をすることもあります。
愛用エフェクト④:SoundToys Decapitator
アナログの質感を求めるなら、Soundtoys製プラグインは要チェックですね!
こちらはサチュレーターで、デカピの愛称でも知られる優れもの。ドラムの音を太くしたいとき、あるいは、キックの重心を下げたいときなどのミックス領域でも効果的ですし、原音をぶっ壊して独創的な音を作りたいときなどのサウンドデザイン領域でも効果的な逸品です。
愛用エフェクト⑤:Kush Audio Omega
Soundtoys Decapitatorと用途は近いです。デカピが合わないなと思ったらこちらを試すのも良さそう!
愛用エフェクト⑥:Waves Oneknob Filter
KOHEIさんと同じく、Waves Oneknob filterも選出されています。
フィルターとしての機能は本当にシンプルですが、オートメーションに割り当てて、リアルタイムにカーブを描くのに適したフィルターです!
【終わりに】周りのビートメイカーが使っている製品を真似して使ってみるのも効果的
当レーベルのスタッフメンバーたちが愛用しているDAW、音源、エフェクトをご紹介してきましたが、いかがでしたか?
私TAKESYはまだまだビートメイカーとしては未熟者ですが、周囲の人が使っているプラグインや音源はよく真似して使ってみたりします。シンプルに、その人の楽曲で聴く音色と同じ音が使えるわけですから。
世界的に活躍しているビートメイカーたちが使っているツールを真似してみるのも、上達への一つの近道です。
この記事が、世のビートメイカーたちの助けに少しでもなってくれたら、これ以上に嬉しいことはありません。
それでは、今回はこの辺で!
また次回の記事でお会いしましょう!!